前回のブログからもう大分時間が経過してしまいました、内容も重複する箇所も多々ありますが、改めましてドローイング展についてのご挨拶、ご案内をさせて頂きます。
この度、自身では初のドローイング展をさせて頂く事になりました。きっかけは、2019年の秋頃の事だったと思います。その時、一番星画廊さんから一年を通してドローイングをしてみないかと言うお話を頂いた事から始まりました。
普段から筆の進みが遅い自分にはある思いがありました。それは描きたいモノが沢山あるけれど、どれもまだ『その時』ではない、、と気になるモノを横目に通り過ぎて来てしまった過去に対する独特な鈍さのある後悔です。
自分の今までとこれからを考えた時、40歳も近くなった事で、この思いに対してどこかで真剣に向き合うことが必要である様にも思っていました。それはより、絵を描く事に深く沈潜していく事に必要なのではないか、と言う事からです。そんな時、このきっかけを頂けたのでした。
絵を描く人間がこんな事を言うのもおかしな話ですが、敢えて言うならば『絵を描きたい』と思って絵を描く事はごく自然な事ですが、それはチャレンジでもあります。その理由はどこまで描くのかをコントロールする事が難しいこと、加えて『絵を描きたい』気持ちで一枚ずつ描き始めることはそれ相応のエネルギーを要するからです。
例えばモチーフそのものと見間違えるくらいまで描くのか否か、とか、自分の高まっている気持ちが落ち着くところまで描くのか、とか、他の誰かの心情に働きかける事を目指して描くのか(こればかりは最難関)、はたまた、それらの全てを求めるか、、それはその時々のケースに依りますが、諸々上述の事から気軽に一枚ずつ描き始めることを無意識に敬遠してしまう自分がいたと思います。
ここまでドローイングを続けてきても、相変わらず描き始めるモチーフと進めて行く絵との向き合い方には振り回される毎日です。『絵を描きたい』という気持ちは如何なる環境、場合にあっても活かしてやらなければ、『その時にしか生まれない何か』を逃してしまうと言う自明の理を体感しています。
2020年、今年は図らずも嵐の様な年になっています。そんな世界の変化とまるで無関係に篭って制作する日々ですが、制作そのものへの社会からの影響は否定出来ず、自分のドローイングにも小さな変化があったと感じています。絵を描く者としてこの『当たり前』を新鮮に感じる事の大切さをこの歳にして感じられた事は今後の制作にも活かせるものと信じています。
展示は総数365点超を3回の会期に分けての展観となります。この様な形での展覧会は自身としては空前絶後と言えるかも知れません。何より、僕にとって自分の『ある日』の欠片が並ぶ事は勇気が要る事でした。
当初、来年に今年の一年分を纏めた形で展示する予定でしたが、コロナの影響による先行きの不透明性から予定を変更し、今年前半のものから3回に分けて一番星画廊にて順次展示する形となりました。初回は11月14日から始まります。この様な時勢ではございますが、ご高覧を頂けましたら幸いです。
展覧会に関する詳しい内容につきましてはホームページのコンテンツ「news」からもご覧頂けます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
※以下は展覧会の会期です
第1回 2020年11月14日〜11月28日(17、18、24、25日休廊)
第2回 2020年12月12日〜12月26日(14、15、23日休廊)
第3回 2021年2月6日〜2月20日(8、9、15、16日休廊)