先日、戸嶋靖昌記念館へ『静と動』展を観に行きました。展示構成は絵画、彫刻、写真となっていて、山口長男、戸嶋靖昌、平野遼、立原学、石田淳一の作品がそれぞれ展示されています。
自分の関わってきた展覧会は全てがそうですが、この展覧会はその中でも特別でした。それは山口長男、戸嶋靖昌作品と同じ空間に自分の絵が並んだ事です。
戸嶋さんの絵との出会いは2007年の日本橋高島屋での『存在の美学』展という展覧会でした。磯江毅さんが主軸となって開催されたもので、その中で異様に心に残る絵がありました。その絵は荒々しく扱われた絵の具の重なりの中に色黒の外国人男性が浮かび上がるもので、その人物のポーズもあってかこちら側に「私はこうだが、お前はどうなんだ、それでいいのか」と問い掛けられているような感覚に陥った事を覚えています。暗くて重い絵なのに何故か密度ある絵画特有の画家の放つ『におい』の様なものがあまり感じられない、不思議な絵でした。その事を振り返ると、心に残ったというより、何かこう刻み付けられたと表現する方が相応しいかも知れません。
以後2015年までは戸嶋さんの絵と再会することは無かったのですが、縁があり多くの戸嶋靖昌作品とスペイン大使館で出会う事になりました。その作品群のエネルギーは膨大なものでした。またその中で、戸嶋靖昌その人を知り、元々好きだった抽象画家の山口長男や、自分の絵をお持ち下さっている戸嶋靖昌記念館の創設者でもある執行草舟さんと戸嶋靖昌との関係性を知るなどしました。
他にもまるで本が書けてしまいそうな不思議な縁の環が多く、今回の様な機会に恵まれた事は本当に有り難い事だと思います。
前置きが長くなってしまいましたが、戸嶋靖昌記念館にて『静と動』展は現在開催中で、9月25日まで開催されています。今の時勢に大声での宣伝はし辛くはありますが、もし可能でありましたらこの機会に是非御高覧賜ります様、宜しくお願い申し上げます。尚、展覧会には予約のお電話が必要となります。
※開館時間や休館日など『News』欄にも記載しています。